壁面緑化の基礎知識

植物

植物養生

壁面緑化では、工事完了時に植栽が完成型に近い状態を求められるため、導入植物の生産・調達・植付や育成管理・養生が特別に必要となります。 また、植栽基盤に利用する土壌の量及び質には十分な注意を払う必要があり、特に土壌量が不足すると、植栽後数年経過しても被覆されない壁面となってしまい、壁面緑化の永続性確保ができないことになります。 このため、十分な施工実績とともに施工後の経過も良好で壁面緑化技術の蓄積を有した安全・安心のできる「製造メーカー」のシステムを使うことをおすすめします。

養生風景

カセット式では現場にて植物を直接植栽することが少なく、事前に野外で養生したものを基盤ユニット(カセット)に植込んで搬入することになります。このため、植栽時期はあまり選びません。しかし、発注から施工までの期間が短すぎたり、植物を基盤に仕込んでからの植物養生期間が植物の非生長期間(秋~冬季)のみであると、十分な植物養生ができません。また、圃場育成苗を温室などの人為的な最適環境下で生育し、いきなり冬季施工などの環境圧の厳しい現場にもってくると、いたみや植物枯死に繋がります。こうした事態を避けるため、予め想定される環境圧に近い条件で植物苗を育成・馴化させることが必要となります。また、使用するポット苗は十分に根が張っていて、ポット内に根づまり(ルーピング)がないものを選ぶことも重要です。

発注時期

現場にカセットやユニットを取付ける際には、導入植物種はすでに完全とはいかないまでも、それに近い状況の緑被率(緑量)が期待されるのが一般的です。
従って、カセットなどに植物を植付け後(仕込後)、圃場において一定の生育繁茂の養生期間を必要とします。理想的な養生期間としては、その植物種によっても異なりますが、夏季の5~9月(約5ヶ月間)のうち、最低でも3ヶ月間は必要とします。しかし、現場の竣工時期や壁面緑化工事分野の工事発注時期に対応するため、その養生必要期間が異なってきます。
正式なご発注後に植物を仕込みますので、ご発注時期によって、出荷時の緑被率(緑量)の状況が異なってきます。あるいは一定の緑被率をめざすためには一定の養生期間を必要とします。
以下に植物の植付時期と緑被率の目安を整理しました。

植物の植付時期と緑被率の目安
発注月
(植付開始)
緑被率達成月
約50% 約80% 約100%
1月初旬 5月末 6月末 9月末
2月初旬
3月初旬
4月初旬
5月初旬 6月末 8月末
6月初旬 7月末
7月初旬 8月末 9月末 10月末
8月初旬 9月末 10月末 11月末
9月初旬 10月末 11月末 翌4月末
10月初旬 11月末 翌5月末 翌6月末
11月初旬 翌4月末
12月初旬

※植物種によって異なります。
※養生管理方法によって異なります。
※肥培管理によって差異が出ます。
※天候・気象条件によって異なります。
※上表の発注月は月頭としております。
※冬季(極寒期)と夏季(猛暑期)の植付けはおすすめしておりません。

緑被率比較(ハツユキカズラ)

【マジカルグリーン】と相性の良い植物

壁面緑化における植物の生育環境は、土壌量、灌水量、風や日照条件など、地上とは異なりかなり厳しい状態にあります。このため、基盤カセットに適合する植物種は、耐乾性、耐寒性、耐暑性、耐病性など各種耐性を踏まえた植物選定を行なわなければなりません。しかも、壁面緑化を設置する方位(東西南北)で条件が異なります。
弊社では、以下のような実績を踏まえて、植物種の提案を行っています。
①過去に方位別に4面設置した大規模なモックアップでの実証実験の結果
②過去約100事例の壁面緑化施工の経験値から導き出した樹種の一覧。

【マジカルグリーン】と相性の良い植物

※極端な日照不足や強風などの厳しい環境下は除く。

【フォルティナグリーンシステム】に対応する植物

地被類及び草丈のあまり大きくならない低木類や花卉類なら、ほとんどの植物種が可能です。できれば常緑性のものがおすすめです。また、【フォルティナグリーンシステム】の上部や下部にワイヤーやメッシュなどの補助資材を組み合わせることで、登はん性や下垂性のツル植物を植栽すると面的な広がりが建物内側からの視野を遮らない程度に表現でき、バラエティーに富んだデザインを計画することも可能です。この場合、ヘデラ類等が一般的で、そのほかに花の咲くツル性植物などもおすすめです。
基盤そのものがプランターであるので、培土量も多く、市販されている9.0㎝ビニールポット苗のみならず、もう少し大きく育った大株苗(15.0~21.0VP)の植物も植栽可能です。そうすることで、建物竣工時に緑量が多く、初期完成度も上がり、早期緑化にも貢献します。また、プランター設置はあと施工のため弊社圃場にて、事前養生育成させることも可能です。さらに、植物の特性に応じて、立性の地被類や低木類・花卉類、登はん性や下垂性のものを混植することにより、より緑被率をアップさせることも可能です。

 

日当りがよくない場合は?

壁面緑化の植物の育成には方位や周りの環境に応じた植物を選択する必要があります。日当たりがよくない場所でも育つ植物を上手に選択するとよい でしょう。

東西南北別日当たり参考