灌水
壁面緑化は屋上緑化に比べ、灌水設備の必要性が高いといえます。灌水トラブルが即、全面枯死に直結するリスクを常に考えておかねばなりません。植栽された植物全体に均一に灌水が行き渡る仕組みが重要になってきます。
現在、灌水設備は点滴式自動灌水システムが最も普及しています。これは、定められた水圧と流量内で、均一に灌水を行うことに最も適しているからです。
また、忘れてならない項目として、灌水により発生する余剰水の排水処理方法について、事前に検討しておく必要があります。
壁面に均一に灌水を行うためのポイント
水圧変化の対応 | 壁面緑化の高低差による水圧変化で、灌水量が不均一にならない工夫を行う。 |
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ホース延長距離の確認 | 灌水ホースの延長距離によって、両端の灌水量が不均一にならない工夫を行う。 |
一次給水の能力確認 | 元の給水管(一次側給水管)における水圧・水量が、壁面緑化の灌水に必要な水圧・水量以上になっているか確認を行う。 |
配管内停滞水の対応 | 灌水の縦配管(メイン管)は、灌水以外の時に水が溜まっていると、夏季は温水、冬季は凍結など問題が発生しやすいため、水抜きの工夫を施す。 |
灌水制御の種類
灌水を制御する方法として、蛇口を手で開閉する手動式のほかに、タイマーなどでコントロールする自動式があります。現在の都市緑化では、点滴式灌水ホースを使用し、自動タイマーで制御するシステムが最も普及しています。これは定められた水圧を流量内で均一に灌水することができるとともに、灌水の撒き忘れなどのヒューマンエラーを起こす可能性が低いためです。
手動制御
散水栓や立水栓に接続された灌水ホースやスプリンクラーのバルブや蛇口を手で開閉します。
人力による作業のためヒューマンエラーによる灌水撒き忘れなどで植物を枯損させてしまうことに注意が必要です。
自動制御
タイマー制御により灌水時間を自動設定しておき、灌水バルブを開閉します。
タイマー制御コントローラーには下記3種の電源タイプがあります。
タイプ | 電源式 | 電池式 | ソーラー式 |
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コスト | ○ | ◎ | △ |
取付手間 | △ | ◎ | ○ |
メンテナンス | ◎ | × | ○ |
耐久性 | ◎ | × | ○ |
タイマー性能 | 年間・週間 | 週間のみ | 年間・週間 |
現場に合わせた排水施設
余剰水を排水する施設として、雨どいがあります。
クロスコネクション対策
植栽用の給水はクロスコネクション対策済の水源であることが必須です。
クロスコネクションとは、各種の給水装置と水道管を直結することをいい、水道水の汚染防止のため、「水道法」により禁止されています。クロスコネクション対策とは、逆止弁を設置することや、給水吐水口と利用水面との間に規定以上の空間を設けるなどの方法です。
液肥混入システム
壁面緑化における肥培管理は、主に自動灌水装置とセットとして、液肥混入システムの設置により、実施しているケースが多いです。一般的に混入システムは電源を特に必要とせず、灌水の水力で作動するエコ設計となっています。流れる灌水量が変化しても、希釈率は一定ですので安心して利用できます。なお、液肥混入システムのタイプとしては、自動灌水ラインに液肥を常時混入させる常設型と小規模の現場で都度持ち運びが可能な可動型のいずれかを選択できます。