丸の内パークビルディング
憩いの中庭を演出、視認性を活かした環境緑化技術を採用
①ミストによる周辺微気象の改善と涼感・癒しの演出。
②独自の植生基盤(中空独立植桝)を設えたツルバラ・パーゴラによる緑陰・休息の提供。
③商業サインの緑化部への埋め込みによる情報発信の演出と環境共生への配慮。
④培土量が適度に確保できるカセット基盤で、植物ストレスが少なく多様な植生の安定生育に適した緑化システムの採用。
事前の植生試験による多様な植物種導入への挑戦
試験に用いた植物種は、2005年開催の「愛・地球博」における壁面緑化「バイオラング」出展植物から選定しました。約200種の中から基盤カセット工法に適応し、色彩豊かで、かつ四季の演出も可能な80種を選びました。さらに天空率・天空照度及び日照条件など、厳しい条件下での事例も参考にしました。
最終的にハツユキカズラ、フィリフェラオウレア、ブルーパシフッィクなど30種に絞込み、それらを同じ植物配置パターンで東西南北4方位に植栽し、生育植生状況を調査しました。その際、モックアップ試験体設置場所(川口市)の光環境より、実現場である丸の内の光環境の方が厳しいと判断されたため、モックアップ試験体「北面」の前面を黒の寒冷紗で被覆し、厳しい暴露環境で試験を実施しました。
約1年におよんだ植生試験の結果、北面において、ほとんどの樹種が、枯死、生長阻害、変色などといった課題を残しました。また、他の東・西・南面においては、樹種別の極端な差異はみられなかったものの、周辺種からの侵入や被覆などにより、枯死する樹種も見られました。
こうした厳しい実験の結果、試験対象の30種中約20種類程度が適正、あるいは配置などを考慮することで準適正という知見を得ることができました。
維持管理技術の工夫による丸柱緑化の環境克服
丸柱緑化で当初より懸念された事項は方位による日照条件の違いとビル風などの風圧、さらにはカセット高低部位による灌水量(水分要求度)の違いなどが考えられました。
このうち、日照と風対策については植物種の配置を工夫することにより解決できました。そして、高・中・低位部別に灌水量を調整し、植生状況を観察しながら最終灌水量を設定しました。